社長室

建設業許可を取るための要件のひとつに「経営業務の管理責任者」があります。

建設業は高額な工事を請負うことが多いことから、経営業務の管理責任者には建設業の経営に関してある程度の経験があることが求められているんですね。

建設業の経営経験がない者は資金繰りや工事の段取りに未熟なため、注文者や消費者に迷惑をかけてしまうことが予想されるからですね。

さて、ここでおさらいですが経営業務の管理責任者になることができるのはどんな人だったでしょうか。

  1. 法人の場合は取締役、個人事業の場合は事業主または登記されている支配人で常勤している方
  2. 建設業の経営経験が下記の年数以上ある方

(1)申請しようとする業種のみの経営経験が5年以上あること
⇒ 申請しようとする業種のみの経営業務の管理責任者になることができます。

(2)何の業種であっても建設業の経営経管が7年以上あること
すべての業種の経営業務の管理責任者になることができます。
つまり1人の方が同時に複数の業種の経営業務の管理責任者になることができます。

ここで気になるのが(2)の「7年以上」ですね。

例を出した方がわかりやすいと思うので、次の設定にします。

 

太郎さんは様々な建設業を10年以上営んでいます。

大工工事、造園工事、屋根工事、建具工事、塗装工事など、何でもできるので頼まれればすべて仕事を請けていました。

ただし、1年中やっている仕事はなく、ある年は大工工事を9か月と造園工事1か月、建具工事1か月、塗装工事1か月など、

1年通してずっと同じ工事をやっていることはありませんでした。

 

大きな金額の工事の受注の話が来たので慌てて建設業許可の取得を検討していますが、せっかくなので取れる許可は全部取りたいと考えていました。

しかし、経営業務の管理責任者で複数の業種の責任者になるには7年以上の経営経験が必要との事。

さてさて、どのように証明したら良いのか悩んでしましました。

 

様々な業種の仕事をしているため、1年を通しての証明資料がありません。

しかし、経営業務の管理責任者は「どんな業種であっても7年以上の経営経験があればOk」なので、1年ごとにバラバラの証明書類を出しても問題ありません。
千葉県の場合は経営経験をした際の常勤性は求められていませんので非常勤の取締役だったとしても問題ありません。

1年目 大工工事
2年目 造園工事
3年目 屋根工事
4年目 建具工事
5年目 塗装工事
6年目 内装仕上工事
7年目 舗装工事

このような内容でもまったく問題ありません。

千葉県の場合でしたら、工事の確認資料は契約書、注文書+請書、請求書+通帳などを1年につき工事1件分を提出すれば良いので、7件分の確認資料が用意できればOKとなります。

ただし、これはあくまで「経営業務の管理責任者」の要件の話です。

これに加えて「専任技術者」の要件も満たさなければ建設業許可は取得できません。

業種が多くなればなるほど、専任技術者の要件を満たすことは難しくなります。

多くの資格を持っている方が役員または従業員にいれば要件を満たす可能性がありますが、実務経験10年以上の要件で専任技術者になろうとする場合には期間を重複できないので注意が必要です。

1業種なら実務経験10年、2業種なら実務経験10年+10年が必要となります。

 

建設業許可は「こちらの要件を満たそうとするとあちらの要件が満たさなくなる」など、色々な方面から申請方法を検討しなければなりませんので、経営業務の管理責任者要件の他、ご不明な点はご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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